金銭消費貸借と売買契約の違い
ファクタリングは銀行などの金融機関の行うこともありますが、中小企業や小規模業者から人気なのは民間企業によるファクタリングです。
資金調達手段という点では共通していますが、ファクタリングは売掛債権に対して売買契約を結ぶのが最大の特徴です。
金銭消費貸借と売買契約の違いを理解できれば、ファクタリングの仕組みが見えてきます。
ファクタリングは良くも悪くも規制がない
銀行融資や消費者金融によるビジネスローンは金銭消費貸借契約を結び借入を行う資金調達法です。
借りたお金と返済までにかかる期間に応じて契約金利で計算される利息を支払う流れです。
返済方法のカスタマイズ性が高く、支払い回数を任意に設定できます。
金銭消費貸借には利息制限法と出資法による法律の制限を受けます。
銀行業の営業免許を持っていたり、貸金業者の登録を受けている正規業者であれば上限金利は決まっているので闇金のように法外に高い金利で契約してしまうリスクはありません。
ただし、金融機関は限られた利息の中で運営しないといけないので、金銭消費貸借(ローンなどの貸付)を行うにあたって厳しい審査を行っています。
ファクタリングの場合は、貸付ではないので一般の企業でもサービスを提供できます。
売買契約になるので、基本的には返済という概念ではなく、買取してもらった売掛債権の支払いを受け取る権利がファクタリング業者に移る仕組みになります。
利用する企業や事業者に対しての審査ではなく、売買契約を結ぶ売掛債権に対して審査を行うので、赤字や税金滞納など金銭消費貸借を利用できない会社や個人事業主でも売掛債権(売掛先の信用)に問題なければ利用できます。
個人がお金に困った時に行う資金調達でたとえると、金銭消費貸借は消費者金融からキャッシングをすること、売買契約は質屋に持っているブランド品を売ったり、業者に車を売るなど資産を売って資金調達する方法に近いです。
消費者金融から借入する場合は利息制限法の影響もあって、ほとんどの業者は金利18%以下で貸してくれます。
車を売る場合でたとえると、同じ車でもA社は100万円、B社は70万円の査定を提示することのあるように条件が大きく変わってきます。
ファクタリングは気軽に資金調達できるイメージを持たれがちですが、業者選びの重要性が高くて、慎重に見極めてから相談しないと悪い条件で売買契約を結んでしまいます。
ファクタリングの売買契約は特殊
物を売る場合は、引渡しと同時に買取価格を受け取れます。
ファクタリングについても、売買契約を結べば最短即日、遅くても1~2営業日で買取価格が入金されます。
売掛債権の売買契約を結べば、契約内容に応じて支払われる売掛金を受け取る権利はファクタリング業者に移行します。
3社間ファクタリングでは、売掛先からファクタリング業者に直接払ってもらうこともありますが、取引先に知られずに利用できる2社間ファクタリングの場合は一度、債権を売却した会社(個人事業主)の口座にお金が支払われて、受け取った金額をファクタリング業者へ渡す流れになります。
2社間ファクタリングと3社間ファクタリングの違いは何?
ファクタリング業者から見れば、売買契約書を結んで売掛先から予定日に代金を払ってくれたとしても、ファクタリングを利用した企業がお金を払ってくれないリスクも出てきます。
そのため、ファクタリングでは売買契約のほかに債権譲渡登記を行い債権を譲渡したことを法的に証明する手続きを求められるなど、手続きやお金の流れ、権利関係の問題が複雑になります。